高級貴族・パンテーラ一族の末裔でもあるパンテーラ。
彼女は、まだ少女の為、学校に通っている。
高級貴族だけあって、通う学校も当然、地方でも指折りの超有名進学校だ。
生徒も、パンテーラと同等の高級貴族か、
資産家の娘・息子、もしくは学力の相当優れた者達だ。
男女共学で、特に制服は無く、パンテーラは私服で登校していた。
そして、パンテーラには、仲の良いクラスメイトがいた。
クレア・ルナ・アニー12世(単にアニー)と
キャンディ・グレース・カレン11世(単にカレン)の2人だ。
この2人もパンテーラと貴族は違えど、数少ない高級貴族の出身者だ。
同じような境遇にあった為、すぐに3人は結び付き、いつも行動を共にしている。
しかし、パンテーラにとって、いくらトリオとはいえ、
同じ高級貴族だけにライバル同士でもあった。
そして、他の2人が、こんな質問をパンテーラにした事があった。

ねぇ、どうしてパンテーラは、いつも手袋をしているの?

決まっているでしょ、汚い物に触れない為よ。
高級貴族たる者、素手で他の物(者)に触れるなんて許せないわ。

あ~ら、やっぱりパンテーラはプライドが高~い!

さすが、私達と同じ高級貴族の1つ、パンテーラ一族の末裔。

私は外では絶対に手袋を脱ぐ事は無いの。
しかし、そうは言ったものの、手袋をする本当の理由は、
他の貴族に弱みを見せる事は出来ない。
同じ高級貴族である2人なら尚更だ。
パンテーラは、自分の一族が世界で一番優れた貴族だと思っている。
他の貴族に負ける訳にはいかないのだ。

じゃ、トイレの時なんかはどうするの?
まさかトイレに行って手を洗ってないなんて事はないでしょうね?

手袋は使い捨てよ。
私は、いつ手袋が汚れてもいいように、
常時10双の手袋を用意しているの。

へぇ~、トイレに入る度に手袋を替えてるんだ。
でも、お風呂に入る時は、さすがに脱ぐでしょ?

お風呂だけは例外よ。
一日の中で唯一、手を洗う時かな。

1日で1回だけ?

そうよ。
防臭・抗菌効果の優れた手袋をしているから1回で十分なのよ。

女子でありながら1日1回なんて、パンテーラ一族ならではね。

お風呂の事で、ついでに言うと、
世界最高の防衛システムが私の入浴を守ってくれているの。
外では屈強な側近が警備に当たっていて、
私の手には何人たりとも触れる事は出来ないのよ。

また、パンテーラ一族の自慢話が始まった。
だったら私だって負けてないわ。
私のお屋敷のお風呂はダイヤモンドで出来ているのよ。

私のお屋敷にもダイヤのお風呂はあるわ。
だって100もお風呂があるんですもの。

私のお屋敷もそのくらいの数あるわ。
でも、国王が認可したダイヤのお風呂はウチだけよ。

あ~ら、お二人とも、お風呂の話なら私の事も忘れないで。
私のお屋敷なんて、水深10mのお風呂があるのよ。

エエーッ!
何それ?

私、泳げないから入ったら終わりだな。

オーホホホ。
しかし、そこへ学校の先生が・・・。

お前達、昼休みはもう終わったぞ。
いつまで自分の家の自慢話をしているつもりだ。

あら、もうこんな時間。

いけない、早く教室に戻らないと!
しかし、教室に戻った時には時既に遅く、鬼教師の授業が始まっていた。

お前達、俺の授業で遅刻をするとは何事だ。
3人共、廊下に立ってろ!

あなたが悪いのよ。
お風呂の自慢話なんてするから。

なによ!
ダイヤモンドのお風呂なんて有る訳ないじゃない。

お風呂の数が100なんて嘘でしょ?
あなたのお屋敷の広さでは絶対に無理だわ。

なんですって!

2人共、止めなさいよ、聞こえるじゃない。
3人の声が廊下に響く。

コラーッ!
うるさいバカ娘達め、静かにしろっ!
そして、3人は水の入ったバケツを持って廊下に立たされる事に・・・。

お、重い・・・。

トホホ・・・。

とんだ、とばっちりだわ・・・。